2011年09月08日
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三百字小説『赤毛のアンちゃん』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 11歳年上のオレの兄貴は、赤毛だけど強いんだ。肩に星形の刺青を入れている。赤毛のアンちゃんはオレの自慢さ。

 でも、ある日、アンちゃんは喧嘩に負けて失踪してしまった。オレ達は必死にアンちゃんを探した。

 ある日、仲間の友達が「話を聞いた」と言って1人の赤毛の女の子を連れてきた。

 「赤毛で肩に星形の刺青。名前はアン。ばっちり該当しているだろ?」

 こいつは、「アンちゃん!」と叫んで探していたのを聞いて、アンという名前の女の子だと誤解してやがる。

 でも、女の子は言った。「ばれちゃしょうがないわね。弟よ、元気だったか? 兄は自信を失ったので性転換手術を受けて女になったよ」

 オレは言葉を失った。

(遠野秋彦・作 ©2011 TOHNO, Akihiko)

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